「2倍働け」なんて、簡単に言わないでほしい
ネットニュースで目にした「石垣市長選」の記事。
新市長の就任式でのあいさつで「職員には2倍働いてもらう」と発言されたそうです。
正直、このニュースを見たときに、元自治体職員として胸がざわつきました。
首長が代わるたびに行われる就任のあいさつ。職員は笑顔で拍手を送りますが、内心では「また4年間振り回されるのかな」と不安や絶望を感じてしまう瞬間でもあります。
DX化は必要だけど、人が追いついていない現実
新市長は「人為的なミスはDXでなくし、市民に信頼される市役所を目指したい」と話されたそうです。
でも実際の現場では、マイナンバーカード関連やマイナ保険証、標準準拠システムなど、国から次々と押し付けられる業務に職員はもう疲弊しています。
私自身、国保関連の部署で働いていたとき、マイナ保険証のオンライン閲覧のために何万件ものエラーチェックを処理しました。結局、端末や職員が悪いのではなく、国のシステムが追いついていなかったのです。
国から送られてくるのは簡単なツールと手順書だけ。担当者は必死に対応しますが、責任者が誰なのかさえ曖昧な状況も珍しくありません。
現場を知らないトップの言葉は重すぎる
「2倍働け」と言うのは簡単です。でも、システムを扱う現場ではSEと同じくらいの知識が求められることもあり、残業なしでは終わりません。
最近はシステム会社も人手不足で問い合わせへの回答が遅れることも多く、ますます職員の負担は増しています。
本当にDX化を進めるなら、まずは職員への教育が必要。特に50代以上の管理職は実際の操作をしないため理解が追いつかないのが実情です。
私が退職を選んで良かったと思う理由
今の若い世代は「ブラック」と感じたら迷わず辞めていきます。
そんな状況に気づかないまま「2倍働け」と言ってしまう首長がいる限り、役所の機能は人手不足で維持できなくなる未来が見えています。
だからこそ、私は公務員を辞めたことを正解だったと思っています。
現場を知らないリーダーの下で心身をすり減らすより、自分らしい働き方を選ぶ方がずっと健全だと今は感じています。
コメント